お気楽”Gセンサー”!
コーナリングフォースを測定、ドライバーにリアルタイムに表示
「F103お気楽化ユニット計画」から派生してできたユニット
2000/11/22 はじめに
このユニットの発想に至るまでの軌跡はこちら
サーキットで速く走るために最も重要なのはコーナリングです。「ラップタイムを詰める」ということは「コーナリングスピードを上げる」こととほとんど同義である、といってもいいくらいです。
車体がコーナリングしているとき、コーナー外側に向かって遠心力が発生しています。遠心力はコーナリングスピードが上がれば上がるほど、コーナリング半径が小さくなればなるほど大きい値になります。この遠心力に対して反対の方向に、コーナー内側に向かって車体に作用している力があります。これが遠心力に対抗し、コーナー内側へとマシンを引っ張っていく力、コーナリングフォースです(左図の「タイヤ抵抗力」です)。コーナリングフォースはタイヤと路面との摩擦力によるもので、限界値が存在します。つまり同じコーナーを走る場合、スピードを上げていくと、ある程度までは同じコーナリング半径で曲がれますが、いくらステアリングを切ってもそれ以上は曲がらなくなる点があるということです。このとき、マシンは最大限界値のコーナリングフォースを発生しています。
高いコーナリングフォースを発生できるということは、より強い遠心力に対抗できるということですから、同じコーナーをより速く、または同じスピードではよりクイックなコーナリングができるということです。
従って、マシンの限界コーナリングフォースをより高くするようにセッティングすることが直接ラップタイムに反映してくるわけです。実車の場合には、操縦者が車両に乗っているので走行中の横Gという形でコーナリングフォースの強さを感じ取ることができますが、ラジコンの場合はどうでしょう。視覚から判断するしかないですよね。
そこで!車体にGセンサーを乗っけて、あらかじめ設定した大きさ以上の横Gを検知したときにLEDが光ったりブザーが鳴って操縦者にリアルタイムで知らせる、という装置を作ってみました。単純なんですけど、どうしてこれがなかなかおもしろい!
○ 限界コーナリングフォースを測定することができます
○ なるべく高いコーナリングフォースを発生するためのドラテク研究の役に立ちます。
○ 走行中の舵角を最小におさえることができるので、タイヤ節約になります(笑)。
本体は屋台ネット製の屋台ボード2号を使いました。
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表 Gセンサーは左下のチップです。 右上はLEDなど駆動用のCMOS-FETです。 はじめて使った。^^) |
裏 |
F103に搭載したところ。
センサーのキャリブレーションや作動G設定は液晶ディスプレイを接続して、ボタン操作により行います。操作方法を覚えてしまえばディスプレイがなくてもきますから、サーキットで走らせている時でも、設定値変更はボディを外すことなく簡単にできます。
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光によってドライバーにコーナリングフォース を知らせるLEDです。 |
光ったところ。 画像ではそんなでもありませんが、実際は めちゃくちゃ明るいです。LEDあたり100mA。 快晴の戸外サーキットでも十分確認できました。 |
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音によってコーナリングフォースを知らせる 場合のブザーです。このサイズのブザーでは 音が少し小さかったので、現在はもうひとまわり 大きいのを使ってます。 |
実際に使ってみたところ、LEDの場合、車体を見ている時は十分LEDの光が見えるのですが、コースの先を見ている時など、視界から車体が外れている時に光っているかどうか見づらいです。そこでこれを音にしてみようと考えて、ブザーを取りつけてみました。これが大正解!一定以上のコーナリングフォースで「ブブブブ・・・」と鳴るようにしてあるので、視点がどこにあっても実にわかりやすいです。
ブザー仕様にして駐車場でテストしてみました。はじめに、設定値を1.4Gにして適当に走らせていると、コーナリングのたびにブザーが鳴りました。次に1.6Gにしてみたところ、今度は全く鳴らなくなってしまいました。そんな具合で1.5G、1.48G・・・・とG値を落としていくと、1.45Gの設定値で、コーナリング中に鳴ったり鳴らなかったりすることがわかりました。この1.45Gという値が、この日の条件での「限界コーナリングフォース値」ということになりそうです。
そのままの設定値で走らせていると、ステアやスロットル操作によってコーナリング中のGが敏感に変化している様子がわかりました。例えば、コーナリング中にスロットルを握ると鳴り止みます。つまりアンダーになったわけですね。逆にスロットルオフにすると鳴ります。おもしろい・・・。あと、ステアリング舵角についても、それ以上切ってもかえってコーナリングフォースが落ちてしまう、という点があるのもわかりました。あらかじめ、設定値をその日の限界コーナリングフォースに設定しておけば、「ブザーが鳴ったらそれ以上ステアを切らない」とすることで、最適な舵角でのコーナリングが可能になると思います。
他にも、いろいろなアイデア次第でコーナリングのデータ取りや練習の役に立ちそうです。
まとめ
ドライバーの操縦感覚を補い、引き出すことのできる装置ができた!!かもしれない・・・
Update 2000/12/05
本日、「大音量ブザーバージョン」をサーキットでテストしました。
(1)設定1.4G コーナリングのたびにブザー鳴りっぱなし。意図せず注目の的。しかし操縦台からはブザーの音は聞こえにくい。音質を変える必要ありか?
(2)設定1.5G 鳴っている時間が短くなったようだ。ギャラリーの子供に指差されつつ(笑)走行。
(3)設定1.7〜1.8G しかしやはり鳴っている。ご一緒した小林さんいわく「コーナリングのごく初期に’鳴って’いる」・・・そうか、ヨーモーメント発生時にそのGを感知してしまうのだろう。センサーは車体前方に装着しているので・・。
今後の課題