Side Story
「お気楽Gセンサー」発想に至るまでの軌跡


 約一年前にF103を購入してからというもの、リア2輪駆動の楽しさにすっかりハマってしまいました。
 なによりもらくちん!軽いのでバッテリーは長時間持つし、メンテは簡単だし(ボディすら外さずにバックラッシュの調整ができてしまうなど・・)、部品が少ないのでランニングコストは安いし、セッティングに悩むことも少ないし・・・・
 これはもう、本HPの目指す「お気楽RC道」認定公式シャシーです。

 しかしながら初めてこのシャシーをドライブしたときはコーナリングの難しさに半泣き状態でした。コーナーへオーバースピードで突っ込もうものなら、もう何をしても曲がらないし、立ち上がりでスロットルをガツンとくれようものならすぐリアがスリップし、スピンしてしまいます。自分のテクニックのなさを、四駆のメカニズムにいかに頼っていたのかがはっきりとわかりました。

 そこでドライビングテクニックを磨くために日々サーキットに通い、練習・・・・はしませんでした。わはは。
安易にも「スピンしそうになったらスロットルを自動的にオフにしてくれる装置を作ればいいじゃん」と考えてしまったのでした。

 結果は、どうやら失敗だったようです(笑)。確かにそれっぽくスロットルを切ってくれはしますが、よけいなところで作動し、スピードダウンしてしまうために、非常にストレスがたまります(笑)。どうもセンサーや制御プログラムにも問題があるようで、これらの基礎検討から始める必要がでてきました。

 そこで次には、基礎データの収集をおこなうためのデータロガー装置を開発したり、プログラムを開発するための暫定制御ユニット「お気楽2号」を設計したりました。

 いろいろデータを取るためにサーキットに通ううちに、結局それがドライビングテクニックやセッティングの練習になっていたようで(笑)、どうやら初めのうち困っていた立ち巻きスピンはセッティングで解消できそうだということがわかってきました。
 ・・・そういうこともあって、興味は徐々にスロットルよりステアリングワークのほうに移っていきました。ここで「最大のコーナリングフォースを発生できる、最も能率のいいステアリング舵角というのはどういうものだろうか」ということを考えるようになりました。・・・って、実はそんな大したことはなくて、「ステアの切りすぎでタイヤが必要以上に減るのはもったいない。なんとかならんか」という発想でした(笑)。

そこで今度はステアリングワークの練習・・・・をするわけはなく、今度は加速度センサーを積みこんだりしてコーナリングフォースを実測してみました。

 ここで得られたデータをベースにして、自動的に最大コーナリングフォースを得られる舵角になるようステアリング操作をコントロールするユニットを作ろうとしました。初めは。が、・・・・・

データを見てびっくりしました。
タミヤ2:ステアvsG
このグラフは雨が降りはじめてグリップが低くなったタミヤ静岡サーキットを走行した時に、0.3s毎ににステアリング操作(横軸)とその時発生していたコーナリングフォース(縦軸)を測定、プロットしたグラフです。この時発生している最大コーナリングフォースは約1.3G(赤点線)で、ステア舵角が約40%の時点で飽和(それ以上ステア切っても曲がらない)しているようです。

 で、びっくりしたというのは左上の、ステア=-40%、コーナリングフォース=1.3Gを中心とする領域に測定ポイントが集中しているように見えますよねー。これ、何を意味しているのかというと、無意識のうちに舵角を制限して50%以上は切らないようにしている、ということで、その集中しているポイントというのが正に「最大コーナリングフォースを最小舵角で得られる」もっとも効率のいい点なのです・・・。

 私、決してラジコンの操作が上手なわけではありません。また、このデータを取ったとき「最小舵角」なんてことは全く意識してませんでした。「やっぱ雨が降るとグリップおちるなあ・・」などと当たり前のことを考えつつのんきに走らせていただけです。それでもなお、無意識のうちに効率のいい操縦を行うことができる、ということなのだと思います。このデータを見た時、そういうことを可能にしてしまう「人間の感覚」はすごいもんだなと、畏敬の念を抱いてしまいました。

 さて、これまで「F103お気楽化ユニット計画」とか言って、車体が自律的に操縦のコントロールを行うユニットの開発を目標にしていましたが、ここにきて、この恐るべき「人間の感覚」+「無意識のコントロール」を越える装置を作る、なんてことは大それたことで、不可能じゃないのかと思うようになりました。

 そんなこと当たり前ですよねー。変な装置作ってる暇があるならサーキットで練習してればよかった・・・

・・・とは、やはり考えずに(笑)、こりずに次は「人間の感覚」を引き出し、補助する装置を考えました。

こうして完成したのが"お気楽Gセンサー"です。


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