タミヤGPで使用できる「540タイプ」のモーターにはマブチ社製のものと、Johnson社製のものがあります。一般的に、Johnsonのほうがパンチがあって、レースではこちらのほうが有利であると考えられています。ただしJohnsonのほうはロット間の差が大きく、また寿命も短いという欠点もあるようです。Johnson社製のモーターが導入されるにはいろいろ歴史があったようですが、現在でもキットにランダムに入っているようです。私のように地方に住んでいるものにとっては、オプションとしてなかなか入手しにくいのも現状です。初心者にも参入しやすいイコールコンディションを標榜するタミヤレースとしてはマブチで統一すべきであるとおもうのですが・・・。
では、両者の比較をしてみます。マブチは新品を10分ほど5000rpmで慣らしたもの、Johnsonは同様に慣らした後、10パックほど走行したものです。電圧は6.8Vです。
あれれー?Johnsonのほうが最高回転は出ているとはいえ、中〜低速域でのトルクがまったくないし、出力もほとんど負けています。どうりでラップがでないわけだ!
Johnsonのほうは実走行後の状態ということで、本来のパワーが出ていないのでしょうか。
では、慣らし運転をしてみます。
慣らし条件:電圧6.8V、5-6000rpmくらいをキープするように電流を制限。
一定時間ごとに負荷状態での回転数を測ると以下のようになりました。
時間(h) |
回転数(rpm) |
0 |
13800 |
1.5 |
14000 |
2.5 |
14200 |
5 |
14500 |
8 |
14600 |
回転数(rpm) |
電流(A) |
|
負荷なし |
18500 |
1.61 |
負荷時 |
14600 |
10.1 |
なーんと、ぜんぜんパワーが違うではないですか!重いギア比で走っていたのでコミュが痛んでいたのでしょうか?慣らし後では最高回転数とともに全域でトルクの向上が見られました。
先ほど比較したマブチも、同様に慣らし運転をして見ました。マブチの場合は2時間で特性の向上は頭打ちになりました。
では今度は”慣らし後”のマブチとJohnsonを比較します。
高回転域ではJohnsonのほうが5%ほど出力が高いという結果になりました。ここにきてやっと納得のいく結果が出た、ということになります。QUAL-7の特性曲線は比較的高回転域の2点を測定し、直線で結ぶことで低速域の予測としていますが、実際には回転数-トルクの関係は直線ではなく、したがってこれまでのグラフは特に低速域で誤差が大きいと思われます。実際、ギア比を変えてみて低速域のトルクを測定すると上グラフの直線より大きいほうにずれていました。しかしこれまで行った、タミヤサーキットを走行したときのシミュレーションによると、もっとも低速のヘアピンコーナーでも9000rpm以上の回転数が出ていましたので、大雑把に言ってグラフの右半分は不要の部分となり、誤差があっても実際問題にはならないと思います。
このモーター特性のデータを使って、走行計算をしてみるとラップタイムは
マブチ |
16.57s |
Johnson |
16.33s |
以上の結果は”平均的な”各モーターの性能をあらわしているとは限らず、今後の検討も必要ではありますが、とりあえずここで解ったこととして、
てなとこでしょうか。慣らしの効果についてはこれからも試行錯誤で経験をつんでいく必要がありますね。