○最高速度でのコーナリング半径(Rmax)を求める
わざわざRmaxより大きくまわる必要はありませんから、これよりも大きな半径がとれるコーナーでもこのRmaxでのコーナリングラインを考えます。
○ライン決定法
コースは時計回りに北コーナーを抜けて、手前ストレートから右コーナーへの進入を開始した点をスタートとします。
まず、全体のレイアウトを見て、Rの小さいコーナーから始めていきます。ここではヘアピン周辺から始めましょう。
右コーナーとヘアピンコーナーでもっとも大きくコーナリングしたときの円は下図のようになります。
なんと、円が交わってしまうではあーりませんか。つまり、このラインでは二つの円の交点で瞬間的に向きを変える必要があり、これはUFOでもないかぎり不可能です。そこで両方の円を少しづつ小さくして、なめらかに接するようにします。
次にそれぞれの半径でコーナリングできる最大スピードを計算してみると、右カーブで6.5m/s、ヘアピンで5.6m/sということになり、つまり両円の接点でスルドイ減速をしなければいけません。このとき無限大のマイナス加速度が必要、ということになり、これもUFO用のラインということになってしまいます。
従って、コーナーの間に減速区間を設ける必要が出てきます。で、コーナリング半径をちょびっと小さくする→間をなめらかな直線で結んでその距離を測る→その距離で十分な減速ができるのかをコーナリング表、減速表とにらめっこしながら考える→減速が足りなかったらコーナリングをまたちょびっと小さくする・・・・の繰り返しで最適化します。
その結果はこのようになります。
同じような作業がS字のところでも必要になってきます。こちらはコーナーがより複雑な形をしているので気が狂いそうになりますがこつこつやりましょう。あ、そうそう、いい忘れましたけどコースの図面はいろいろ書き込んでぐちゃぐちゃになってきますから、あらかじめ何枚かコピーしておくことをおすすめします。
あとのコーナーは最大半径をとって、速度を表から読むだけでOKですが、Rmax(ここでは7.86m)以上の半径にならないように気をつけます。
コーナーの間は接線でむすんで、フル加速している状態を考えます。次のコーナーにはいる直前で、オーバースピード分の減速を行います。
というかんじでラインを完結させると次のようになりました。
# |
走行モード |
速度(m/s) |
走行距離(m) |
時間(s) |
備考 |
|
1 |
右コーナー |
コーナー |
6.4 |
13.2 |
2.07 |
R=3.5, 217度 |
2 |
|
減速 |
6.4→5.6 |
1.1 |
0.18 |
|
3 |
ヘアピンコーナー |
コーナー |
5.6 |
8.5 |
1.50 |
R=2.7, 180 |
4 |
|
加速 |
5.6→8.8 |
6.6 |
0.86 |
|
減速 |
8.8→7.7 |
1.8 |
0.22 |
|||
5 |
S字前半 |
コーナー |
7.7 |
10.8 |
1.41 |
R=5.0, 124 |
6 |
|
加速 |
7.7→8.5 |
2.4 |
0.30 |
|
7 |
S字後半〜日本平コーナー |
コーナー |
8.5 |
18.4 |
2.16 |
R=6.2, 170 |
8 |
|
加速 |
8.5→9.4 |
7.7 |
0.84 |
|
9 |
南コーナー |
コーナー |
9.4 |
15.2 |
1.63 |
R=7.8, 112 |
10 |
バックストレート |
加速 |
9.4→9.6 |
13.2 |
1.38 |
|
等速 |
9.6 |
10.5 |
1.10 |
トップスピード |
||
11 |
北コーナー |
コーナー |
9.6 |
20.8 |
2.17 |
R=7.8, 153 |
12 |
ホームストレート |
等速 |
9.6 |
2.2 |
0.23 |
トップスピード |
減速 |
9.6→6.4 |
5.4 |
0.68 |
|||
平均 8.23m/s |
計 137.8m |
計 16.73s |
私の場合、原著を理解するところから始めてここまで3日間かかりました(はじめは電卓をつかってた)。自分でやっときながら、いったいなにが楽しくてそこまでやるのかと思いました。(←おいおい)