「お気楽レヴロガー」でタミヤサーキットを
周回した時のデータをとってみました。
00/04/01
これは、アンプのスイッチを入れてから11秒後に作動し、以降約0.3秒おきにピニオンが何回転したかを20秒間記録します。
しかし、あとでそのデータをみても何秒後にコースのどこを走っているのか分からないので、同時にビデオで走行の様子を記録しておき、あとでつき合わせて見ようと考えました。
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佐藤さん撮影 |
シャシーはF103LMで、スポチュン、25T/93T、タミヤゴムタイヤ、アウディボディです。セッティングは、ん〜と、忘れた(笑)。ほとんどデフォルトです。
みなさんの多大なる協力を得て取得できた生データはこちら
(1)周回の様子と速度
解析結果の一例です。
ビデオとストップウォッチとグラフとにらめっこした結果です。ラインと速度は同じ番号どうしが対応しています。
この時のラップは15.9秒。あまり速くないですがまあ典型例だと思います。ノースコーナー(8)とヘアピン(12)で突っ込みすぎて、大きくアウトにふくらんでしまっています ^^;)。
最高速度は(7)の13.3m/s ( =48km/h )。モーター(スポチュン)がタレているので、本当はもうちょっと伸びると思います。
ブレーキは一回も使っていないのですが、スピード落ちるのって結構急なんですね。バックストレートの加速(6→7)は2.5秒かかっていますが、もとのスピードに落ちるのはたった1秒です。サウスコーナー(6)でも、スロットルは少しだけ抜いているのですがコーナリングの最中に結構減速しているようです。
あと、ヘアピンの後の短いストレートでは結構加速しているんですね(1、13)。S字入り口ではかなり減速しなければいけないので難しいポイントです。
(2)コーナリングスピードとコーナリングフォース
6回取ったデータの中から、それぞれのコーナーにあたる、谷間の速度を取り出して平均を求めてみました。
コーナー |
スプーン |
ヘアピン |
S字入口 |
日本平 |
サウス |
ノース |
平均速度(m/s) |
5.84 |
5.65 |
6.92 |
7.88 |
9.51 |
8.26 |
コーナー |
スプーン |
ヘアピン |
S字入口 |
日本平 |
サウス |
ノース |
コーナー半径(m) |
3.71 |
3.29 |
5.30 |
6.63 |
8.75 |
6.90 |
ところでみなさん、自動車教習所で習いましたよね。「コーナーでの遠心力は速度の2乗に比例して強くなる」。さて、ここから何が求まるのかというと、そうです。その遠心力に対抗しているコーナリングフォースです。
コーナリングフォースはそのほとんどがタイヤのグリップ力により発生し、一定と考える事ができますから、そのグリップ限界でのコーナリングでは
速度(m/s)^2 = コーナリングフォース(G)・9.8・コーナリング半径(m)
の式であらわされる単純な比例関係になるはずです。さて、実測値は・・・
おお!見事だ!ほぼ直線上にのっているといってもいいでしょう!この時のコーナリングフォースは上記式を変形し
コーナリングフォース(G) = 速度(m/s)^2 / ( 9.8・コーナー半径(m))
で求めることができます。計算してみると
コーナリングフォース=1.0G
となりました・・・・。ん?たしかツーリングカーでのシミュレーションの結果では1.3〜1.6Gという数字が出ていたはず。
○やはり2駆はコーナーが難しいのか!?
○それともこれは私のセッティングがなっちょらんからなのか!!?(こっちの可能性大)
(3)加速について
次は加速について分析してみました。お気楽ユニットの立ち巻き防止機能の原理は「モーターの回転数を常に監視していて、理論値を超える加速が検出されたらスロットルをオフにする」という考えに基づいていますので、この「加速」の解析が重要です。
車体の加速度を考えた時に、モータートルクの性質上、最大の加速度は一定ではなく、モーターの回転数、ひいては車速が速くなるにつれて減少していきます。速度が上がると当然空気抵抗も増加しますのでこれも見逃せないファクターです。したがって加速を続けていくとあるスピードで加速度が0になります。その点が最高速度です。
モーターのパワーや空気抵抗が分かれば、各車速に対応する「理論最大加速度」が算出できます。もしこれが正しければ、実測の加速度はその最大値より常に小さいはずです。これをこえた時が「ホイールスピン=立ち巻き」であると認識できるわけです。ここでは実測値と理論値を比較してみて、必要であれば理論値の補正を行います。
では、実測値です。今回測定した6データ X 64ポイント = 約400ポイントの初速およびその直後の加速度をプロットしてみます。
横軸はある時点、0.3秒間での平均速度です。縦軸はその0.3秒後、速度がどのくらい増加したか、つまり加速度を表しています。
初速が上がるにつれて最大加速度が減少しているのがわかると思います。これがモータートルクの減少、および空気抵抗の増加に起因しているわけです。
次に、理論値を計算してみます。詳細は省略しますが「走行計算」用シートver.5を使って計算しました。
理論値算出に使用したパラメータ
モーターパワー |
最高回転数 |
21500rpm |
QUAL-7実測値 |
静止時トルク |
1.621kg-cm |
QUAL-7実測値 |
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車体重量 |
1300g |
実測値 |
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駆動輪直径 |
55mm |
実測値 |
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ギア比 |
3.72 |
実測値 |
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ギア効率 |
0.95 |
推測 |
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転がり抵抗係数 |
0.05 |
推測 |
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空気抗力係数(CD) |
0.7 |
推測 |
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全面投影面積 |
0.018m2 |
推測 |
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回転部分相当重量 |
0.1kg |
推測 |
さて!実測値と一致するのでしょうか!?
赤い曲線が、最大加速度の理論値です。
こりゃバッチリじゃないの!!実測値はほとんどぴったり理論値以下におさまっています!
多少オーバーしているポイントもありますが、多分、うまく測定できなかったデータでしょう。
われながら、こりゃすげぇや!びっくりです!
この理論値をつかえば違うモーターや車体にも、実験なしで応用可能になることが期待されます。
まとめ : おお!けっこういいセンいってるじゃん!